Webアプリケーションの性能向上

  • ボトルネック(bottleneck)

    • 性能向上を阻んでいるシステムの設計上の原因。多くの場合、システム全体から見ると小さな部分である。

  • Webアプリケーションの性能(応答性)が悪い場合、ボトルネックがどこにあるか

    • クライアント(Webブラウザ)のパフォーマンス

      • HTMLレンダリング

      • JavaScriptの実行速度

    • 通信経路

      • 通信データ量

      • 通信回数

      • TCP通信回数

    • サーバの資源

      • CPU使用率

      • 同時接続数

      • メモリ使用率

      • ディスクIO

    • DBMSの性能

      • SQL問合せの実行速度

      • 非効率的なSQL問合せ

      • インデックス(索引)

      • WebサーバとRDBMS間の通信

    • 外部サービス(Webサービス)の応答性

    • ボトルネックの可能性が極めて多岐に渡るため、実際にどこがボトルネックかは計測してみないとわからない

  • 代表的な対策

    • サーバの負荷分散

      • 同一構成のWebサーバを複数台用意しておいて、リクエストを分散する

      • DNSラウンドロビン: ホスト名に対して複数のIPアドレス、DNSの応答で複数のIPアドレスに分散

        • 簡単だが、DNSの仕組に依存→負荷分散が十分できないことも

        • サーバがダウンしているかどうかは考慮されない

      • ロードバランサ

        • クライアントから見ると1台のWebサーバ

        • 受け取ったリクエストを複数台のリアルサーバから1台を選択して中継

        • 正常に稼働しているサーバのみから選択

        • リクエストの中身は考慮しない

        • 専用ハードウェア、ソフトウェアの両方あり

      • リバースプロキシ

        • クライアントから見ると1台のWebサーバ

        • リクエストの中身を考慮して、適切なWebサーバにリクエストを転送

        • Webサーバからのレスポンスはリバースプロキシに返る。これをクライアントに転送

        • 主な用途例

          • リクエストURIのパスが /image/* だったら画像用のWebサーバに、そうでない場合はWebアプリケーションサーバに

            • Webアプリケーションサーバは、多くの場合、アプリケーション高速化のため言語処理系をメモリ上に展開→1回のリクエストを処理するメモリ使用量が多い

    • 通信量の削減

      • キャッシュサーバ

        • クライアントから見ると1台のWebサーバ

        • リクエストをそのままWebサーバに転送

        • レスポンスをクライアントに送りつつ、キャッシュサーバ上に一時保存

        • 次にクライアントから同じURIへのリクエストがあったら、一時保存されたキャッシュデータをクライアントに返す

        • 考慮すべき点

          • キャッシュをどれだけ保存すべきか(期間、容量)

          • サーバでのデータの変更をどうキャッチするか

          • ステートフルな通信にはそもそも向かない(ログインしているクライアント vs. ログインしていないクライアント)

      • その他

        • 転送データのzip圧縮

          • テキストに対しては効果あり、圧縮済みバイナリデータにはあまり効果なし

        • 画像・動画etc.の圧縮改善

          • 圧縮率をあげる

          • より圧縮率の高いフォーマットを使う

    • ディスクIO、重複する計算の削減

      • メモリキャッシュ

        • アプリケーション内部で使用するデータをサーバ上のメモリ上にキャッシュ

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